第22章 帰宅編
「…………たわけ…!僕が…どれだけ心配したか…!
分かっていないだろう!!」
「い"っーーー」
駆け寄る澪に思い切り
平手打ちをしてしまった。
「いてて………ごめん。」
澪が驚いたように目を丸くしてから
寂しそうに言った。
その余裕ぶった表情に今度は怒りが溢れてくる。
「澪の、大馬鹿者……っ」
「……ごめん。」
「それから…鈍感で、KYで、お人好しで、」
「ごめん。」
「ひとりで勝手に抱えて…いなくなって。」
「……………。」
「それから……それからっ、
澪は、おたんこなすだ。」
「………若。」
悪口を言い続ける僕に、
澪は優しく僕の涙を拭いた。
「…………たわけ。
そうやって、優しくしたって、
許してやるものか。」
そう言いつつも、
澪に甘えたくて、胸元に顔を埋めた。
少しだけツンとした薬の匂いに少し目を開けると、
胸元の隙間から包帯が見える。
「………困ったなぁ。」
澪はその素振りを一切見せず、
苦笑いして僕の頭を撫でた。