第22章 帰宅編
「別に、何処で髪切ったって俺の勝手じゃん。」
俺がそう言うと、東城は首を振った。
「いけません。若に触れられる者として、
もう少し身なりに気を付けなさい。澪。」
むぅ…東城ったら、相変わらず若ばっかり。
……………って。
「そういえば若は?」
若は道場にはいなかった。
ほとんどの日を剣術に明け暮れている若にとっては、
意外な事だ。
お妙さんとでも出かけているのだろうか。
「若は貴方がいなくなった現場に行っています。」
俺の予想に反して、東城は苦笑して言った。
「…もしかして、澪が
帰ってくるかもって、
毎日1度は足を運んでいるのですよ。」
若…………。
そういえば、2ヶ月前、俺、若に謝ってない。
酷いこと言ってごめんねって…まだ、言ってなかった
「……………あの、俺、行ってきます。」
「……相変わらずの鈍感、ですね。
救いようがないほどに。」
「まぁそう言うな。
澪の長所じゃろう。」
「敏木斎様は澪に甘すぎなんすよ。」
「同感だ。」