第22章 帰宅編
ガラガラ、と道場の扉を開ける。
道場内は稽古の最中で、
門下生の掛け声と竹刀がぶつかり合う音が
響きあっている。
「……………えっと。」
勿論、突然入ってきた俺を気にする様子もなく。
どうしようか周りを見渡したものの、
話しかけるような雰囲気じゃない。
「……………ただいまー…。」
ただ、竹刀の稽古を付けていた、
東城と敏木斎様は気付いたようで。
「澪!!」
突然呼ばれてそちらを向くと、
門下生の動きが一斉に止まる。
「あ、東城。」
「……貴方…一体…何処に行っていたのですか。」
東城がこちらへ駆け寄ってきた。
周りの門下生も俺を見て固まっている。
「それは…えっと…その。」
俺が口を濁すと、
東城が俺にヅカヅカと詰め寄った。
うう…なんて言い訳しようか。
ちょっと出掛けてた、で済む期間でも無いしな…。
いろいろ思考を巡らせていると、
横をゆっくりと歩いてきた敏木斎様が口を開いた。
「…澪や。」
「…は、はい。」
「…………おかえり。」
敏木斎様は俺の顔を見てふわりと微笑んだ。