第21章 鬼兵隊編
その時、ドカンと爆発が起こり、
小太郎が現れた。
「澪!無事か!!」
「小太郎!!!」
今度は小太郎に抱きついた。
久しぶりすぎて何を言っていいか分からない。
でも、なんだかホッとして、幸せだ。
ぎゅうぎゅうと抱きついていると、
小太郎がハッと我に返る。
「銀時!敵は散らした。急ぐぞ。」
「急いでねェのはテメェだろーがよ。」
銀時が悪態づいて、先に歩いていく。
脱出の方法は敵を散らして、
デッキから降りるようだ。
「行くぞ。」
小太郎が抱擁を緩めて、俺の手を掴んで、引く。
「……………。」
「…どうした?」
小太郎が首を傾げる中、
俺は引かれる手を止めて、振り返った。
「……晋助。」
「……………。」
「…あのね………ありがとう。」
俺がそう言うと、晋助は鼻で笑った。
「………フン。」
「次会ったらかっさらってやる。
覚悟しとけ。」
そう言って意地悪そうに笑う晋助は
やっぱり悲しそうだった。
「時間が無い。行くぞ澪。」
「うん…またね、晋助。」
「……………あァ。」
だが、それについて言及する余裕もなく。
俺は小太郎に手を引かれるまま、
その場を去る。
晋助は俺がデッキから降りていくのを
腰にある刀を抜くことも無く、
キセルを吹かしながら黙って見ているだけだった。
「俺は変わってねェよ…今も昔も。」
「この気持ちだけは、変わんねェ。」
「いっそ変わっちまえば楽なのによォ。」
「てめェはいつも、俺の心を掻き乱しやがる。」
「…………澪、愛してる。」
「でも、」
「お前を笑顔に出来るのは、俺じゃねェみてェだ。」
高杉はキセルを吸い、
頬を伝う涙と共に煙を吐いた。