第21章 鬼兵隊編
そういえば、この前新八が
文通したら妄想しちゃって
大変だったって、銀時が言ってたなぁ………
……………………………。
「…………俺もやってみっか。」
風に当たったおかげか、少しだけ意識が
ハッキリしてきた。
こんなの、届くわけがない。
もしかしたら、海に流れ着いたゴミとして
捨てられるかもしれない、でも。
「…………銀時なら。」
きっと、俺の事、気付いてくれるはず。
なんてったって、俺の………
兄貴……………………………
いや、兄貴じゃない、違う違う。
「そういえば神威に、兄貴じゃないよって、
言い忘れちゃった。」
やっぱり人間嘘は良くない。
今度会ったら、
まずはそれを訂正してもらわないと。
「……………紙とペンどこかな。」
人の部屋の引き出しを漁るのは
気が引けるが、仕方ない。
ゴソゴソと引き出しを漁ると、
メモ用紙とボールペンを見つけた。
「…………よし。」
2点を拝借し、ペンを取った。
「………えっと…坂田銀時へ。
神崎澪より。」
酒のせいで手に力が入らず
ぐちゃぐちゃな字しか書けない。
「…澪………どこにいやがる……。」
後ろでは、晋助が独り言を言っている。
起きる前に、早く済ませなくちゃ。
「俺も寝に行くから待っててー。」
間延びした声を出しながら、
ペンをガリガリと走らせる。
「これでよし。」
4つ折りにした紙を瓶に入れて、
蓋をしっかり締め、窓の外へ投げる。
瓶の周りに水しぶきが立って、
海に着水した事が分かった。
「…………んだよ、全然来ねぇじゃねぇか。」
気が付くと晋助が後ろから俺を抱き締めていて
晋助の息が耳を掠めて擽ったい。
「……ごめんごめん、吐きそうだったし。」
俺は晋助に気付かれないように誘導して、
布団に潜り込む。
晋助が腕枕してくれて擦り寄ると、
晋助は俺を抱き抱えるように腕を回した。
「………おやすみ……晋助。」
「……………あァ。」
最後に聞いた晋助の声は寝ぼけておらず、
ハッキリしていた。