第20章 春雨編 (注:R18 本番なし)
「……ゴホン。すまないが銀時、
この間の連続誘拐犯以外では
誰かが誘拐されたなどと言う事は
聞いたことない。」
「そんな…何か無いんですか?
なんでもいいんです。」
「俺も澪がいなくなった事を
今初めて聞いたくらいだ。
知らんものは知らん。」
「そーかよ。チッ無駄足だったぜ。」
ヅラもダメ、警察もダメ。
柳生家も何度も足を運んだが
ダメだった。
…後はどこから探せばいいのやら。
俺がため息をつく。
隣の神楽も同じだったらしく、
呆れた声を出した。
「ヅラ、全然使えないネ。空っぽの男アル。」
「空っぽじゃない桂だ。
………そうだな。
誘拐…とは関係ないかもしれんが、
澪に関係する話ならあるぞ。」
「なんだ、あるじゃねーか。
さっさと言え。」
俺が言うと、
ヅラは考えるように手をあてる。
「高杉が、今地球にいない。」
「高杉ぃ?」
ヅラから出てきたのは、
藪から棒に高杉の話だった。
「つい一週間前の話だ。
京に潜伏していた高杉が急に動いたのだ。
しかも、部下を置いて、
ほぼ単独で宇宙に飛んだらしい。」
「単独で宇宙?何のために?」
「さぁな。目的は分からんが、
奴は部下を待つ時間がないほど、焦っていた。
それは確かだ。」
「…その目的が澪かもしれねぇってか。」
「そこまでは俺も断言できんが、
十分あり得る事だ。
高杉は、喉から手が出るほど、
澪が欲しかった筈だ。
強硬手段に出ていても、おかしくはない。」
「……チッ厄介だな。」
高杉がもし今澪を
手元に入れてるならば。
澪に何をするか分からない。
この間は俺がたまたま
居合わせてギリギリ助けることが出来たが、
連れて行かれる先はおそらく鬼兵隊の船。
何があっても、誰も助けてくれないだろう。
俺が舌打ちをすると
隣の神楽が首を傾げた。
「銀ちゃん、高杉はどうして
澪が欲しいアルか。
仲間はいっぱいいるのに変ネ。
なんで澪アルか?恋アルか?」
「知るか。」
神楽の予想は当たってるが、
んな事、考えたくねぇ。