第20章 春雨編 (注:R18 本番なし)
「っておい!あぶねーだろ!!」
銀さんが間一髪のところで避けて、
パトカーに向かって叫ぶ。
僕もなんとか避ける事が出来たらしい。
自分の体に落ちてきた掘建て小屋の
木材を手で押してどけた。
すると、自分の体に影が入る。
「なんでィ、旦那。いたんですかィ。」
顔を上げると、
沖田さんがバズーカを
片手に呆れたように言った。
バズーカのせいで、
掘建て小屋は丸つぶれになっていて、
屋根も崩落しもはや家では
なくなっていた。
柱やら壁が壊れて散らばったせいで
地下の入り口すらも分からない。
こっそり忍び込もうとしていた
僕達の作戦は台無しだ。
「チッ、テメェらも
嗅ぎつけてやがったのか。」
沖田さんの後ろから、
土方さんもパトカーを降りてくる。
タバコをスパスパ吸う姿は
ヤクザよりもよっぽど怖い。
「テメェらもって、
アンタ達も澪さんを探してここへ?」
僕がそう聞くと、
土方さんは首を振った。
「澪は関係ねェ。
今回は澪の事件よりでかい
連続誘拐犯の摘発が目的だ。
物事には優先順位ってモンが
あんだよ。」
土方さんがタバコの煙を吐いて
そう言った直後、
パトカーからもう1人降りてきた。
「トシ!澪君は見つかったか!?」
「…近藤さん、澪は悪魔で
ついでだっつってんだろ。」
言わずと知れた、真選組局長。
近藤さんだ。
パトカーから出るや否や
キョロキョロと辺りを見回している。
本気で澪さんを探しているらしい。
「そんな事言ったってよォ。
俺ァ澪君が心配で心配で…
仕事も手につかねぇよ。
溜まってくばかりさ。」
「そりゃあアンタの仕事の大半を
澪がやってたからな。」
「とにかく、俺の仕事が回らないから
澪を優先的に探すぞ!なぁ総悟!」
その言葉に土方さんがはぁ、とため息をつく。
どこのトップもこんなんなのだろうか。