第20章 春雨編 (注:R18 本番なし)
(沖田視点)
「………お主ら、真選組か。」
車から降りると、
白髪混じりの黒髪のジジイが
俺達を深刻そうな顔で迎えた。
「…ちょうどよかった。
俺達もこれから向かうところでな。」
隠密隊の男が先頭となり、
柳生輿矩、土方コノヤロー、俺、
山崎と山道を歩く。
「って事は現場はアンタらも見てねぇのか。」
「ああ。隠密隊が見つけて、
先に父上が向かったのだ。」
「…………そうか。」
土方コノヤローと柳生輿矩が
話をする中、最後尾の山崎が
おそるおそる声をかける。
「……あ、あの。
本当に澪なんですか?」
「それはまだわからん。
私物が散らばってたというだけだ…。
だが………。」
柳生輿矩は言葉を詰まらせた。
「輿矩様。到着致しました。」
その言葉をかき消すように
隠密隊が言葉を発する。
「………ああ。」
麓の階段を上ると、血の匂いがした。
噎せ返るような臭いに
耐えながら前を見ると、
ジジイがこちらを見た。
「………来たか。」
ジジイの持っているのは
真選組の隊服。
その手には、澪の警察手帳が
握られていた。