第20章 春雨編 (注:R18 本番なし)
「ーーーッおら!」
「ーーーッ……。」
あれから30分、
俺はずっと彼の攻撃を避け続けている。
相手は夜兎の拳。
まともに食らったら、
立っていられなくなる。
けど、それ以上に、
コイツを斬る事は出来ない。
俺は避け続けるしかなかった。
「……………いつまで続けるつもり?」
「……こっちの台詞だよ。
俺はもう、帰りたいんだけど。」
お互い距離を取り合って、ため息をついた。
「…………あ!」
何かを思いついたらしい少年が
またにこりと笑った。
「……あの片目の黒髪の女のコ、
カワイイね。」
「ーーーー!」
「………君のカノジョ?」
「……知らないなぁ、誰?その女。
俺にも紹介してよ。」
「嘘だね、あんな道端で喧嘩して、
『知らない』はないでしょ。」
「…………………。」
「イイね、その目。ゾクゾクするよ。」
やっぱり、
あそこで若に会ったのは誤算だった。
「………チッ。」
若を、柳生家を潰すわけにはいかない。
俺は仕方なく刀を抜く。
「………。」
相手は夜兎。
それに対して俺はたった1人だ。
勝てるかどうかは、分からない。
でも、
「……お前には、勿体ない女だ。
勿論、俺にもね。」
知人がちらつくその顔を睨みつける。
俺は無理矢理士気を高めて
これから来る攻撃に集中した。