第3章 過去編
カコン、とししおどしが鳴る曲座にて、
俺は1人、ごくり、と唾を飲んだ。
「………お主。名は?」
「は、はい。澪です。」
「うんうん、澪ちゃんね。覚えた覚えた。」
「いや覚えた覚えたじゃないよパパ上!
コイツ明らかに怪しいって!! 」
目の前にいるのは
先程のチビのジジイ……
現在の柳生家の当主。柳生敏木斎。
その隣にいるチビのおっさんが
敏木斎の息子、柳生輿矩。
そしてその隣にずらりと並ぶのが
柳生家の四天王。
糸目の東城歩、
インテリメガネの北大路斎、
筋肉ハゲの西野掴、
見た目男性器(らしい)の南戸粋。
自己紹介された順に並べると、こんな所だ。
そして俺は今、身分確認を受けている。
「ふむ…そうかのう。澪なんて名前、
どこにでもあるじゃろう。」
「あはは…そうっすかねぇ。」
「そんなことない!
偽名かもしれないし…怪しいって。」
敏木斎がめんどくさそうに輿矩を見る。
輿矩は俺の事をかなり疑っているらしい。
…まぁ、それもそうか。
山の中で倒れていた男なんて
怪しいと思わない方がおかしいだろう。