第3章 過去編
…そうか、この人達、
俺のこと知らないんだな。
でも、それは幸いだったかもしれない。
天人を受け入れた幕府を敵に回して
戦った攘夷志士のことなんて、
幕府が良く思っているわけない。
ましてや、将軍の下についている柳生家なんて
俺の事半分敵だと思ってるだろう。
…コイツらには悪いが、バレる前に
そろそろお暇した方がいいのかもな……。
1人で上の空考えていると、
後ろに気配がする。方角は西だ。
「…………………、」
無言で目の前の少女を飛び越えて塀を登り、
間合いをとる。
「澪さん…どうしたの?」
驚いた顔をする少女。
東城は分かっていたのか驚かなかった。
「いや…。」
俺がどう誤魔化そうか
すると、茂みからガサガサと誰かが出てきた。
「ワシの気が読めたか。」
「あ、おじい様!」
「…………。」
どうやらお暇するのは
もう少し先になりそうだ。