第20章 春雨編 (注:R18 本番なし)
「………………………。」
さっき、たまさんと別れてから
俺は今、少し遠回りの帰路についている。
「…………………?」
「…………!」
突然、後に振り向いてみた。
すると、電信棒の後に誰かが
隠れるのが見える。
「………………これ、多分。」
つけられてるみたいだ。
「………………。」
知らないふりをして歩き出すと、
後ろの誰かも一定の距離を保ちつつ
ついてくる。
…斉藤隊長も今日は非番だから
ついてきていない。
斉藤隊長だったとしても
俺が後ろを振り向いたら
彼は何か御用かと顔を出すハズだ。
だが、それもない。
「……………困ったな。」
考えられるのは
巷で噂の誘拐犯か、
攘夷志士…晋助の手下共か、だ。
「……………ハァ。」
逃げるという手もあるが、
逃げた後、このまま家に帰って
柳生家の皆に迷惑をかけるわけには
いかない。
「…………やるしか、ないか。」
俺は帯刀していて良かったと
腰の刀を握った。