第19章 トッシー編(原作沿い)
(土方視点)
目が覚めたのは、翌日の朝の事だった。
気付いたら公式ファンブックの大会も
何もかも終わっていて、
俺は自分の体を完全に取り戻していた。
「澪、か。」
「……おはようございます。副長。」
「………ああ。昨日は世話になったな。」
近藤さんに聞くところによると、
澪はトッシーの最後を
看取っていてくれたらしい。
奴が最後、何を語ったかは
澪しか知らないが……
奴の事だった。
どうせ好きだのなんだの
澪に愛を問うたんだろうな。
そう思うと少し悔しいが、
最後くらい好きにさせてやろうと
思ったのは自分だ。
不満を飲み込み、
澪を見ると、
澪は俺から目を逸らす。
「…………。」
「……その、世話になった礼に、
今度、茶屋でもどうだ。」
この前、総悟が
澪に簪を買い与えたという
噂を聞いた。
総悟が簡単に人にアメをやる性格とは
思えないが、もしそれが事実なら
俺は1歩総悟より遅れている事になる。
とても腹立たしい。
理由はこじつけでもいい。
とにかく、澪に何か
してやりたかった。
「………結構です。……気持ち悪いので。」
「………き、きもっ………。」
予想外の答えに思考が止まる。
澪の目は激しく冷たく、
そして罵倒しているような目だ。
「オイ、そりゃあどういう……」
「ち、近付かないでもらえますかっ!?」
俺が澪に詰め寄ると、
澪は2、3歩後退りした。
訳が分からないが
俺は澪に拒否をされているようだ。
それが総悟や万事屋ならまだしも
好意を持っている人にされると心底傷つく。
「……へ、へんたい………っ!!」
澪が俺に触られぬよう
距離をおきながら言う。
俺は慌てて口を開いた。
「はぁ!?……んな馬鹿な事、
誰が言ったんだよ!!」