第19章 トッシー編(原作沿い)
『予選、マラソン大会のゴールに辿り着いたのは寺門通親衛隊と通選組……
たったの2チーム!!』
司会者が声を張り上げる中、
俺達通選組はまた顔を合わせた。
「……澪、お前……それ…趣味か?」
「趣味なわけないじゃないですか………。」
副長が俺の姿を見て煙草を落とす。
「あ、あれだな…その、
似合ってるぞ!ガッハッハッ!!」
「フォローになってないですよ……。」
局長ですら引いてしまい、
嫌味に聞こえるフォローをする始末だ。
うぅ……沖田隊長の馬鹿…ドS……。
「ほら、犬はそこで休んでなせェ。」
「………………。」
「返事は?」
「……………わ……わん………。」
「よし。」
ステージの端に鎖を縛られて放置される。
鎖はある程度の長さがあるため、
俺は目立たないよう、
1番端っこにいる退の隣に立った。
退の頭は何故かモヒカンで、
本人は死んだ目をしている。
何かあったのは明白だ。
「……………お疲れ、澪。」
「………お疲れ。」
しかし、お互い相手の事を
気にしている余裕はない。
沖田隊長の目を盗んで首輪なんて
すぐに外したいものの、
沖田隊長がそれを許してくれるはずもなく
俺はただ、鎖が千切れないかな、なんて
甘い期待を抱くしかなかった。
「………お互い大変だね……。」
「…………アハハ、そう……だね。」
「「………………………はぁ………。」」
手も足も出ないこの状況で
俺と退は苦笑いしか出来なかった。