第19章 トッシー編(原作沿い)
「みんな〜!
お通のこと好きィ?」
「「「大好きィィィイイ!!」」」
「大大好きィ?」
「「「大大大好きィィイ!!!」」」
「大大大大好きィ?」
「「「大大大大大好きィィイイイ!!」」」
「テレビちゃんぽんスペシャル
寺門通公式ファンクラブ決定戦場の
ピアニスト!!」
「「「「ワアアアアアアア!!!」」」」
ステージの上ではお通ちゃんが
皆に向かってマイクを通して喋り、
それを見たオタク達は拳をあげ、体を起こし
大声をあげる。
その熱気はもはや発狂寸前。
「お通ちゃん……すごい人気。」
退がとなりでボソリと呟いた。
俺も隣でうんうん、と頷く。
本番くらいは素でいけと
副長に言われ、俺は今日、
女装をしずに袖のない
デニムジャケットを着ていた。
…とはいえ俺はこの大会に参加はしないが。
今回の我らが通選組のメンバーは
副長、局長、沖田隊長、退の4人。
俺はあくまで補佐というか、
副長……いや、トッシーの最後が気になり
はんば観客として来ている。
「あんなのに好かれてお通ちゃんも
大変だよな……。」
俺達トッシー隊は
会場の端に固まっており、
俺はオタク達をゴミのような目で見ていた。
「それがアイドルってもんじゃねーのかィ?」
俺の隣でガムをくちゃくちゃと噛み、
膨らませているのは沖田隊長だ。
沖田隊長も例外なくトッシーの服を着ており、
赤い鉢巻が嫌に似合っている。
ある意味、いや物凄くレアだ。
「ああいう女は奴等に金を
貢がせるのが目的ですからねィ。
願いかなってぼろ儲けってな。」
イケメンのドS王子にとっては
アイドルのお通ちゃんも
全く興味が無いらしく、
俺と同じくゴミのような目で
お通ちゃんを見ていた。
「隊長、そういう夢の無いことを
言っちゃ駄目ですって。
誰かが聞いていたらどうするんですか。」
退が苦笑いして隊長を止める。
確かに、こんなオタクだらけの場所で、
お通ちゃんの悪口を一言でも言ったら
つまみ出されてしまいそうだ。
「もし新八君が聞いたら、
なんて言うか……。」
退がボソボソと呟き、ふと
その光景を想像する。
……メガネが割れるほど
激怒して外に放り出されそうだ。