第19章 トッシー編(原作沿い)
「…………山崎。
ちゃんとコイツを見てなかったら……
分かってんだろうな?」
「ヒィッ!」
ギロリと副長に睨まれて、
また舌打ちされる。
服装の上下のデニムは
気持ち悪いくらいオタクなのに
その顔はやはり不機嫌な鬼だった。
「今日からトッシー隊の
マスコットキャラクターになった
澪子ちゃんでござる。
………澪。」
「…はい、副長。」
副長の呼び掛けに澪が立ちあがる。
深呼吸をしてから、口を開いた。
「ゴホン。…………みんなぁー!
こんにちワンダフルー!!
カ・ワ・イ・イ、澪子のことを、
よろしくネクロマンサー!!」
「「「ネクロマンサァァアアアア!!」」」
「みぃーんなで、お通ちゃんの
公式ファンクラブ目指して
がんば労働基準法ー!」
「「「労働基準法ォォオオオ!!!」」」
「あー、そこの人。
あんまり近づかないように。
……はいはい、下がって下がって。」
澪が何かを話せば、
オタク達が大声を上げる。
先日の騒動でもある程度予感はしていたが、
実際目にすると、
その人気っぷりに圧倒される。
澪は先日の錯乱とした様子は
一切見せず、
オタクに笑顔を振りまいていた。
「うふふ、ボクの大好きな
お通ちゃんの応援をしてくれて
ありがとうきびウンコー!!
その調子でもっと金を貢げよもぎ餅ー!!」
「ウオオオオオ!
よもぎ餅ィイイイ!!!!」
澪がきらりとウインクをして、
オタク達は熱狂する。
澪が動く度にポニーテールの
オレンジ色のカツラが
ふわりと舞った。
まるで、万事屋の旦那の所の娘さんみたいに
オレンジ色の髪は
中世的な澪の顔と相まって
物凄く似合っていた。
服装はヘソ出しのTシャツにホットパンツで
おへそや太ももなどの魅力を誘う。
相手に向ける明るい声や仕草は女そのものだ。
さらに緑のカラコンを付けた澪の
元の面影は全く無かった。
女装を振りまく今の彼が、
実は真選組局長補佐だなんて
誰も思いもしないだろうな………。