第3章 過去編
「ーーーーッ」
次に目を覚ますと、
俺は布団の中にいた。
部屋を見る所によると、
だいぶ、高貴な感じがした。
感じがした、というのは語弊だが、
部屋の中に大きい壺や、花が生けてあるし、
布団もふわふわの羽毛だ。ふわふわ。すごい。
「ーーーー、ん?」
体をゆっくり起こすと、
額にあった濡れタオルが
俺の膝へと落ちた。
誰かが、看病してくれていたらしい。
「よっこらせ、」
一体だれが看病してくれているのだろう。
ちらりと隣を見ると教科書が
置いてあった。
もう、字も滲んで全く読めないし、
ビリビリに破れてしまっているが、
染み込んだ俺の血が
それが教科書だという事を証明していた。
それを懐にしまって
体を起こし俺はフラフラと部屋を出た。
縁側から庭を見ると、池や松がある。
庭もかなり広い。運動場くらいあるな、これ。
縁側を降りて池に近づく。
「…………錦鯉が3匹。金色もいる。」
俺が近づくと、餌が貰えると思ったのか
鯉達が皆集まってきた。
「あげるもの、なにもないよ…ごめん。」
謝りながら、しゃがんで鯉を見る。
鯉達は優雅に、池の中を泳いでいた。