第19章 トッシー編(原作沿い)
俺がババアを指差してそう言うと、
ババアにハリセンで叩かれる。
澪はそれにも目もくれず、
俺に顔を向けた。
「うへぇ…?女なんてどれも一緒だろー?」
へらへらと笑う澪の目は
据わっている。
こりゃあババアにそそのかされて
大分飲んでんな。
「そういえば…澪さんの
女絡みの話、聞いたことないですね。」
新八が澪の頼んださきいかを
つまみながら呟く。
奥では神楽がご飯を掻き込んでいるのが見えた
「…コイツにそんな話ある訳ねぇだろ。
コイツにとったら
女は女っていう一括りの生き物としか
認識してねぇんだよ。馬鹿だから。」
「いや、いくら澪さんでも
そんな訳ないでしょ。」
「澪、このババアいくつだと思う?」
「んー?ハタチかなぁ?
……と、見せかけて、三十路と見た!!」
「ほらな。」
「…………これは重症ですね。」
新八は苦笑いしてまたさきいかをつまむ。
澪は注がれた焼酎をごくりと飲んだ。
「うぃー…………。」
力が抜けたように、
カウンターに頭を突っ伏す。
飲んだ焼酎が口から垂れた。
「………あの、気になってたんですけど、
澪さんどうして銀さんを
待ってたんですか?」
隣の新八が澪に声をかける。
澪は虚ろな目で新八を見る。
「う………きょう、仕事で失敗して……。
それをお酒で忘れようと思って……。」
「……何やらかしたんだよ。」
ハイボールを飲み干して聞くが
澪は突っ伏したまま動かない。
ボソボソと喋るだけだ。
「上司を……殴っちゃった……。
カッとなって………。おれ、さいてーだ……。」
澪の目に涙が浮かぶ。
愚痴を聞かされることはあるが、
こんなに落ち込むなんて珍しい。
でも、コイツの今の直属の上司は
あのゴリラだろ?
落ち込むことなくね?
「もしかしてゴリラか?
ゴリラだったら普段メスゴリラに
殴られてるからいいんじゃねぇーの?」
「姉上をメスゴリラって呼ぶの
やめてもらえますか!?」