第19章 トッシー編(原作沿い)
(澪視点)
夕暮れの帰り道。
俺は今朝の事で頭がいっぱいで、
ふらふらと俯いて歩いていた。
「はぁあ………失敗したなぁ………。」
彼はトッシーだったとはいえ、
副長を殴っちゃうなんて。
勿論、今まで殴ったことはあった。
でもそれはマジで殴らないと
俺の貞操がうばわれる時だけだ。
いつもだったら、あのくらいの事、
馬鹿にして無視して終わりだった。
でも、今日は……
「………みんな見てたし………。」
トッシーもトッシーだ。
まわりの空気くらい読んでよね。
そういうのは俺と二人しか居ない時とかに
してほしい。
………いや二人きりで詰め寄られても殴るわ。
どっちも一緒だ。
……でも、結局俺は副長を
殴ってしまったわけで、
俺も空気が読めていないことになる。
トッシーとはいえ、屯所で副長を
コテンパンに殴るなんて、士気が
下がることは必須だった。
あの時、とりあえず口だけで否定しておけば、
そのうち副長が戻ってきて、
丸く収まったかもしれないのに………。
「はぁー………。」
がっくしと肩を落とす。
殴ってしまったという罪悪感は
俺の心に深くのしかかる。
「こんな日は1杯飲んで忘れたい……。」
隣をちらりと見ると、
緑の髪の女の子が、
本日営業と書かれた札をかけに来ていた。
パチリ、と
スナックお登勢の看板に電気がつく。
ぼんやりと歩いていたら無意識に
銀時の家に向かっていたらしい。
そういえば、銀時達、家にいるかな。
……なんだか、会いたくなってきた。
「……ねぇ。」
「………何か御用でしょうか。」
女の子に声をかける。
機械的な喋り方だ。
右の頬に1本ラインが入っていて、
その周りにはネジ穴のような
変な丸い窪みがある。
フェイスペイントかな?
……変わってるなぁ。歌舞伎町の女の子は。
「銀時って今、家にいます?」
「……銀時様達はお仕事に出かけております。
……もうすぐ帰られると思いますが………。
銀時様とはどのような関係で
いらっしゃいますか?」
「え?どのような関係って、普通の……」
「友達、他人、兄弟の中からお選びください」
「なんでその三択!?」