第19章 トッシー編(原作沿い)
「あ、副長、おはようございます。」
前から副長が俯いて歩いてくる。
……あれ?朝礼の時間はまだなのに……。
「おはようございます。」
澪もぺこり、と頭を下げる。
副長が澪の前に立った。
「………………澪子氏………。」
副長がぼそりと呟き、澪の肩を掴む。
は?澪子氏?なんじゃそりゃ……。
「…………あの、副長?」
「僕よりもそんな男がいいのかい!?」
「……………は?」
「僕らは昼夜を共にして、
あんなに愛し合っていたじゃないか。
なんで……なんで浮気なんか……っ
もういいさ!誰とでも
寝ればいいじゃないか!僕はNTRもイケる
人間だから!!ぐすっ……
うわあああああんっ!!」
「……………………………。」
副長は澪の肩を抱いて泣き出し、
澪は固まっている。
「…えっと………澪……?」
俺は副長の言っている意味がわからず、
一応澪に聞いてみる。
朝礼に向かっていた周りの隊士も
チラチラと俺達の方を見ていた。
しかし澪は俯いたまま何も言わない。
顔をのぞき込むと、澪は
死んだ顔で副長を見ていた。
やばい、なんか……物凄く怖い……。
「……………オイ、クソ童貞オタク……」
澪が物凄く低い声で副長に囁く。
「……………そ、それって僕の事かい?」
副長が顔を上げた瞬間、
澪の鉄拳が右頬を直撃し、
副長は庭の方に飛んでいった。
「うぅっ………い、痛いじゃないか!!」
「はぁ?……何?副長、
アンタこそ何様なんですか?え?」
軒下に入れてある予備のスリッパを履いて
澪も庭に出た。
靴下のまま、投げだされた副長は
固まっている。
「昼夜を共にして愛し合っていた?
…そんな事は妄想だけに留めておくべきですね
少なくとも、俺はそんな事をした記憶は
一切ないので。」