第3章 過去編
「ーーーーーッ」
大きい破裂音と、
何かに体が打ち付けられた感覚が走る。
地面か、いや、違う。これは、水だ。
息がーーーー
「ぷはっ、げほ、げほッ」
必死にもがいて水上へ顔を出す。
まわりを見渡すと、崖の底は川に
なっていたらしい。
俺は断崖絶壁の壁を見て、
あそこから落ちてきたのかと上を見上げた。
が、そんな暇もなく、川は急流で、俺は、
どんどん流されていく。
次から次へと来る波に
俺はもがいてもがいて、もがきまくっていた。
人間は馬鹿な生き物で、
いざ死にかけると、生きたくなってしまった。
「ーーーー、ッ!」
手に何かがあたり、必死にそれを掴む。
体を浮き上がらせると、流木を
掴むことができた。
そのまま流木に体を預け、息を整える。
「ぷはっ………はぁっ……はぁっ…………」
息は整ったものの、波はまだ荒い。
流木から手を離したら、もう終わりだ。
俺は流木にしがみつき、
川の急流が収まるのを耐えた。