第18章 柳生九兵衛生誕祭編(原作沿い)
裏から戻ると、
プレゼント渡しが始まっていた。
「えーと、これは
我が社のキーなのですが、
是非若様に使っていただきたく…」
若がその車がいかにすごいかを
聞いている。
俺はその間に若の隣についた。
「…というような性能でして、
これを我が社から若様に
プレゼントさせていただきます。」
「…素晴らしいプレゼントをありがとう。」
若がプレゼントを受け取る。
参加者が皆拍手を送り、
若が改めて皆に頭を下げた。
「若、それ貰うよ。」
「ああ、頼む。」
若が頂いたプレゼントを
ステージのテーブルに並べていく。
車のキー、高額の商品券、
旅行券…
それは全部若に媚びるためのものばかりだ。
毎年貰っているが、
若がこんなもの使いこなせない、と
門下生や四天王にあげてしまって
いるのは秘密である。
今年も豊作だな、なんて
テーブルに広げられたプレゼントを
見て思う。
「さてと…。」
次は誰だろうか。
待っていると銀時のテーブルから
お妙さんが立ち上がったのが見えた。
持っているのは…小さな白い箱。
……ケーキかな?
やっとまともなプレゼントが来そうだ。
しかし、それは先程若に握手を
求めていた男により阻まれる。
目の前に急に男が現れたせいで
お妙さんは肩をぶつけてしまった。
そして、持っていたケーキが
回転して逆さまに落ちた。
べちゃり、という音とともに
ケーキの箱は潰れてしまう。
中からクリームと
カステラが混ざったぐちゃぐちゃの
ケーキが見えた。
「ーーー!」
若の顔色が変わる。
「妙ちゃ…」
「駄目だよ、若。」
お妙さんの所に行こうとする若を
俺が止めた。
「澪、何故止めるんだ。」
「若は柳生家の次期当主。
出るべきじゃない。」
「……、分かった。」
若が仕方なく下がる。
こんな所で柳生家の若の信用を
失うわけにはいかない。
分かって、若。
向こうでは新八と男が言い合っている。
やっぱり、若の友人をこんな会に
呼ぶのは失敗だったかな…。
「場違いなんだよお前ら!!
ここはお前らみたいのが
来ていい所じゃないんだよ!」
「帰れェ!」
「そうだ帰れ!」
場内には帰れと参加者が喚き始める。
若の拳が強く握られていた。