第18章 柳生九兵衛生誕祭編(原作沿い)
そこに神楽が歩いてくる。
「き…九ちゃん。
誕生日おめでとう。」
神楽がゆっくりと近づいてくる。
ああ、銀時達のテーブルの代表は
神楽だったんだ。
俺が若の後ろに下がると、
若が神楽の方を向いた。
神楽はもじもじと後ろに花束を隠す。
………そんな後ろに隠さなくても、
花束持ってんのは知ってんのにな。
「えっと……はい!」
神楽が若に花を差し出す。
しかし、その花は一輪のみで
枯れかけもので、茎は折れている。
「あ…ありがとう。」
若が花束を抱えながら
受け取ろうとすると、
神楽の持っていた花は
ハラリと散った。
あれ?
ちゃんと銀時達のテーブルにも
花束は渡っていたはずなのに…
おかしいな。
ちらりとテーブルを見ると、小太郎が
くしゃくしゃになった花束のラッピングを懐にしまおうとしている。
ジッと小太郎を見ていると、
目が合った。
「…。」
俺が無言で睨むと、
小太郎が口パクで俺に伝えてきた。
えっと…
え?
『ただの事故だ』?
何が事故だ。
なんで花が枯れるような事故がおこるわけ?
俺が首を振ると、
小太郎は何故だ!と口パクをする。
俺は小太郎にそっぽを向いて
無理矢理会話を終わらせた。
どちらにしても花を無駄にしたんだから
全員有罪だ、馬鹿。
花束は神楽で最後だったらしい。
全員の参加者が席に着いたのを見て
若を誘導する。
「若、花は俺が預かるから、
司会の横にあるステージに
上がってくれる?」
「分かった。」
若から花束を受け取り、裏に入った。
ステージでは若が
参加者にお礼の言葉を述べている。
これが終わったらプレゼントを渡して
会食パーティだ。
はぁ、早く終わって若とご飯食べたいな。
俺は護衛で会食どころじゃないし
若は主役で色んな人に話しかけられ
食べる時間はあまりないから、
終わった後、打ち上げのような感じで
閑散とした客間を貸し切るのが
誕生日会の中で一番楽しい時間だ。
「ふぅ…」
花束を裏に置いてある花瓶に入れ、
ステージに戻る。
「よし。」
気合いを入れ直す。
誕生日会はまだまだ始まったばかりだ。