第18章 柳生九兵衛生誕祭編(原作沿い)
「……ゴホン、失礼。」
そんな俺達の静かな雰囲気を叩き割ったのは
東城だった。
思い切り頭をハリセンで叩かれ、我に返る。
「ーーーー痛っ!!」
頭を抑えると、東城が俺をギロリと睨んだ。
「………澪?
………さっさと客間に行ってくださいね。」
その言葉で今日が何の日だったかを思い出す。
しまった。手合わせに夢中で忘れていた。
「や、やばっ………。」
慌てて道場を出る。
若が客間につく前に礼服に
着替えて出迎えなければ。
俺は急いで自室に入った。
「……ま、間に合った……かな。」
礼服を整えて会場に入る。
……若はまだいなかった。
今頃東城に言われて防具を
脱いでいる頃だろうか。
とりあえず、間に合ったようで良かった。
「………ふぅ」
周りの人達は
相変わらず芸能人やら政界の大御所やら、だ。
その人々が醸し出す厳格な空間……
そしておごそかな雰囲気に飲み込まれる。
「…………あ。」
その中で1角、
雰囲気にも飲まれず孤塔の如く
そびえ立つテーブルがある。
………銀時達だ。
「…………………やっほー。」
遠くから小さい声で言って手を振ると、
新八とお妙さんが気付いてくれる。
「……あら澪子ちゃんじゃない。
まだ男やってるの?」
「姉上…澪さんは元々男ですよ……。」
お妙さんの恐ろしい言葉に新八が苦笑いする。
まだ俺の大事な物を削ぎ落とそうと
狙っているのか。
……うう、若の親友じゃなきゃ、
俺一切関わらないよう国外逃亡するってのに…
世の中そんなに甘くない。