第18章 柳生九兵衛生誕祭編(原作沿い)
若の部屋の前に来ると、
部屋の電気がついている。
もう起きたみたいだ。
「若、入るよ。」
「ああ。」
返事をもらってから中に入ると、
若は着替えをしている途中だった。
下着姿というわけではないが、
まだ腰紐をしめておらず、
着物を着ているとはいえはだけている状態だ。
着物からさり気に見える白い肌に
一瞬目を奪われる。
筋肉はついているのだろうけど、
それでも若は女だ。
女の子として育てられたらきっと、
今頃柳生家の姫としてモテモテに…………
……って馬鹿か俺は!何考えてんだ!!!
「き、着替えてるなら言ってよ!!」
慌てて部屋を出て、扉の外で待つと、
中から若の笑い声が聞こえた。
「ふふっ…僕は別に澪なら
構わないぞ。」
「俺は駄目だってば!!」
能天気な若の笑い声に
頭をガシガシと掻いて気を紛らわした。
着替えの終わった若と共に
朝食を取り、道場へ向かう。
「澪と手合わせなんて久しぶりだな」
「…そうだね。最近は忙しかったから。」
若はとても楽しそうに笑う。
真選組の仕事もはじめてから大分経つ。
最初は派遣だし、
言われた事やっていればいいか、
なんて思っていたんだけど……
仕事をどんどん任されて、
いつの間に局長補佐だなんて。
派遣のやる仕事じゃない。
柳生家よりは刀を振る仕事が
多いとはいえ、補佐官として
書類仕事ばかりやっていたら、
柳生家での仕事とあんまり変わらないよな。
……でも転職は今のところ考えていない。
真選組の皆の顔が思い浮かぶ。
みんな頭空っぽの馬鹿の癖に…男前で、強い。
そんな真選組に何時しか
俺は、惹かれ始めていた。
「澪?防具…付けないのか?」
「あ…ごめん。ボーッとしてて。」
道場で防具をつけ始める若と
一緒に俺も取り掛かった。
………いや、今日は真選組の事は忘れよう。
最近真選組ばかりで柳生家の事が
疎かになっていた。
たまには孝行しないと。