第17章 呼び名編
…………少々イライラがこみ上げる。
総悟は明らかにわざとやっている。
俺の事を知ってておちょくってるに違いない。
「あぁ?何が言いてぇんだ総悟……」
だが、売られた喧嘩を
買わないわけにはいかない。
しかも好きな野郎の事なら尚更だ。
「いやぁ土方さんみたいに
いつまでも俺が上司だって
偉そうにしているのは嫌だったんでねィ。
隊長なんて肩書きは置いといて、
澪と仲良くなることにしたんでさァ」
「あ"ー知らなかったなー。
俺、そんな偉そうに見えた?え"?
こう見えて実は1番部下の事考えてるから。」
「あの…お二方…落ち着いて……。」
口に咥えているタバコに力が入る。
ギリギリと音を立ててタバコが歪んだが
気にしている暇はない。
とにかくこのドSな挑発的な笑みを
浮かべているこの野郎をぶん殴りたい。
「……オイ総悟。餓鬼はすっこんでろ。
この前の厠編からちょこまかと
動き回りやがって…邪魔すんじゃねぇよ。」
「へぇ?誰が邪魔してんですかィ?
邪魔なのはそっちでさァ。
引いてくだせぇ、土方さん。」
「悪いが引くわけにゃあいかねぇなァ。
コイツは俺が先に手をかけたんだ。
俺が貰う。」
「順番なんて関係ないでさァ。
振り向かせた方が勝ちですぜ?
ま、俺は負けやせんがねィ。」
ジリジリと総悟との睨み合いが続く。
前の厠編の総悟の発言は冗談かと思っていたが
そうじゃない。
この野郎…。コイツぁ俺の邪魔じゃねぇ。
本気で惚れてやがる、クソが。