第17章 呼び名編
「……………澪。」
「何ですか?」
「1つ聞きたいことがあんでィ。」
「……………?、はい。どうぞ。」
聞きたいこと?なんだろう。
仕事関係の話か?
いやいや、副長も手を焼くあのサボり魔の
沖田隊長に仕事の話なんてあるわけないよね。
もしかして俺の休暇中の事について
聞きたいのかな。
今朝も他の隊士達に何回か聞かれたし、
ありえるかもしれない。
しかし、その質問は、意外なものだった。
「なんで俺の事総悟って呼ばないんでィ。」
「……………へ?」
「へ?じゃねーだろ!
前、厠編で約束したじゃねーか。」
厠、厠………ああ、隈無さんの話か。
確かに厠の後に沖田隊長と副長に
問い詰められたっけ。
…銀時について。
「厠編から2章も経ってんのに
次の終兄さんの件から忘れたかのように
『沖田隊長』って呼びやがって、
ふざけんじゃねーでさァ。」
「…あれは、1番隊に入ったらって事じゃ
なかったんですか?」
「ちげーよ。入っていなくても呼べ。
あと1番隊についても
俺、まだ諦めてねぇぜ。」
「…さいですか。」
思い違いがあったようで、
俺がそうかと頷くと俺に顔を向ける。
なんてゆーか、やっぱり沖田隊長って
イケメン、だよな……。
可愛い王子様系で、
モテモテのアイドルっぽくて………
俺がぼんやりとその顔に見とれていると、
沖田隊長は顔を近付けてきた。
「………じゃあ、呼んでくれんのかィ?」
「……いや、それは………」
「…………………チッ。」
沖田隊長の顔が近すぎて俺が後ろに少し引くと
沖田隊長は俺の腰を掴んで引き止めた。
後頭部も抑えられ、逃げられなくなる。
「…………ならなんでザキはいいんでィ。」
「さ、退は別ですよ。同僚だし…友達だし。」
「…じゃあ俺も、友達になればいいんだな。」
「…いや、そんな訳にいきませんよ。
沖田隊長は上司ですから………。」
「………………めんどくせぇ。」
沖田隊長の表情に苛立ちが見える。
顔はどんどん近付いてきて
体重もゆっくり俺にかけられていく。
後頭部を抑えられているため逃げられず、
倒れ込んだ。