第17章 呼び名編
副長に言われた通り、局長室へ向かう。
他の隊士達にも迷惑をかけたし…と、
一応近場で買ってきた菓子折りも持っていく。
「……局長、神崎です。」
「お、おう。入れ。」
「……失礼します。」
頭を下げながら部屋に入り、
頭をあげると……
局長室に入ると、何段にもなった
書類の山が目に飛び込んできた。
「…………なんですか、これは…。」
俺が空いた口を閉じれずにいると、
局長があはは、と笑った。
「いやぁ、実はさ、
ドライバーから戻った反動と、
久々に澪くんがいなくて
自由になった反動でさ、
俺、ハメはずしちゃって………。」
詳しく聞くと、夜は酒をガブガブ飲み、
日中はお妙さんに危険がないよう見守る、
真実の愛の戦士(ストーカー)として
活動に勤しんでいたら、
ついつい書類が溜まり、
このような事態に陥ってしまったそうだ。
「………………………。」
「…その、来て早々悪いんだけどさ。
澪くん。これ…手伝ってくれない?」
ああそうだ、この人は
そういう人だった。
「………………………はぁ。」
俺は怒る気にもなれず、
ため息をつき、部屋に入った。
「…………なんとか、なりましたね。」
「ありがとおおお澪くんっ!
ほんと!勲涙出ちゃううう!」
とりあえず今日〆の書類は完成した。
あとは局長が出しに行くだけ。
とりあえず今すぐ
提出しに行くよう局長に頼み、
俺は外の空気でも吸おうと局長室を出た。
「……………はぁ、肩こった。」
今日も秋晴れ、いい天気だ。
縁側で欠伸をしていると、
庭にいた沖田隊長が俺の方に歩いてきた。
「あ、仕事終わったのかィ?」
「とりあえず、今日の分は…ですけどね。」
「ふーん。」
沖田隊長が縁側に腰掛ける。
…この人は庭で何をやっていたんだろう…
「…あ、お茶でもお持ちしましょうか?」
「ん?ああ、いらねェ。」
「そうですか。」
「それよりテメェも座れ。」
「あ、はい。」
沖田隊長に隣に座るよう促されて座る。
少し冷たい風が俺達の間を吹き抜けた。