第3章 過去編
そんな訳ない。戦は、2週間後の話だろう。
「うそ…だ。……ハッタリだろ……?」
「そうか、お前は知らないんだな。」
「お前が図案を盗んだ事で、
こっちも奇襲をかけることになったんだよ。」
「作戦がバレたなら、
その前に殺ればいいだけだしな。」
「お前の持っている図案を
心待ちにしながら死んでるんじゃねぇか?」
汚らしい笑い声が脳内をこだまする。
そんな、奇襲だなんて…汚いぞ、と言いたいが
図案を盗んだ俺が言えることではない。
でも、銀時達なら奇襲くらいはね飛ばせる。
おせーよって、俺を迎えてくれるはずだ。
「そんな奇襲で……死ぬ奴等じゃない。」
言葉を紡いで、目の前の天人達を睨む。
「そう思うなら、死んであの世に
行けば分かるだろ。奴等、
きっと待ってるぜ、お前のこと……ほらよ。」
目の前に投げだされたのは、
松陽先生にもらった教科書。
攘夷志士で持っている人なんて、
数人しかいない。
銀時と、晋助と、小太郎と…俺。
あとは、松陽先生くらいか。
これを、天人が持ってるなんて……
本当に…皆、やられた…のか?
嘘だ、と信じたい。でも、
目の前の血塗られた教科書は俺を否定した。
違う。皆死んだんだ。
みんな、みんな…………
晋助も、小太郎も、…………銀時も。
俺が盗みに入ったから………