第14章 真選組厠編(原作沿い)
「いや、もういい。うん。
俺、別に。他の人がサボってても、
イライラとかしないし。
サボりは自分の責任だし。」
掃除の時間が終わり、職務にあたる。
職務とはいっても、
今日はそんなに忙しくない。
いつも通り見回りして、
出勤簿つけて終わりだ。
…そういえばもうすぐ月末だ。
どうせみんなめんどくさくて
ハンコ押してないだろうし、
そろそろ整理し始めないと勘定方に
給料出してもらえなくなっちゃう。
みんながこまめにやってくれれば
すぐ終わるのになあ…
「…厠行ってからやるか。」
出すもの出して、すっきりしてから
やった方が気分的にもいいかもしれない。
「うへぇ…汚っ」
厠に入ると、
便器から尿がベタベタに飛んでいる。
ほんとに汚いなぁ…。
柳生家はこまめに女中が掃除してくれるから
綺麗だからか、差がおもむろに出る。
男しかいない真選組にそれを
強要するのは無理か。
手を洗い、消毒のウェットティッシュで
手を拭く。
…前、東城に真選組の厠のことを話したら、
『なんですと!?それは一大事です!!
そんな手で若に触れるなど!有り得ません。
若に唯一触れることが出来る男子として
誠実さ、優しさ、そして
清潔感がなくてはいけません。
このウェッティーを使いなさい!!』
と説教されてから、真選組の厠を使ったら
必ずウェッティーを
使うようにしている。
「あれ?神崎。」
出口に沖田隊長と隊士がいて、話しかけてきた
「あ、沖田隊長。…と、隈無さん。」
「ああ、神崎さん。」
隈無さんって確か、他の隊から1番隊に
最近、異動になった人だよな。
すごい綺麗好きっていう噂だ。
あ、そういえば1番隊の掃除当番、
厠だったな。
「掃除お疲れ様です。」
俺が軽く言うと、沖田隊長は
はぁ、とため息をついた。
「分かってんなら手伝ってくれィ。」
「今日は俺も退と二人で庭掃除だったんです。
勘弁してください。」
俺が苦笑いして首を振ると、
チッと舌打ちされた。
そんなこと言ったって、俺だって
大変だったんだ。
…退を叱責するのに。