第14章 真選組厠編(原作沿い)
全部を掃除するのは広すぎてできないので、
気になる所だけ、落ち葉を集めていく。
ちりとり片手に落ち葉をあつめていたのだが、
かなり夢中になってしまい、
気付いたら退とはぐれていた。
「あ、やべ。こんなとこまできちゃった。」
まわりを見渡すと近くに道場があった。
中で、斉藤隊長が一人で床を雑巾で
拭いている様子が見える。
「…………あれ、1人?」
そういえば、三番隊って
斉藤隊長1人なんだっけ。
なんでだろうなぁ…皆に聞いても
教えてくれないんだよね………。
何かワケありってことしか知らない。
俺が縁側からこっそり除くと、
斉藤隊長と目が合う。
「あ、えっと…一人だと大変ですね。」
「……………………………。」
斉藤隊長に初めて話しかける………
………ものの、返事は無し。
だが、無視してる訳じゃない。
俺の方をジッと見て動かない。
「俺達密偵部隊も2人でして…。
お互い大変ですね。」
「…………………………。」
ため息混じりにそう言うものの、
やはり返事はない。
「………………。」
無視したいんだったら掃除を
続行すればいいのにそれをしないってことは
やっぱり聞く気はあるのかな。
どちらにしても道場一人は辛い。
「あの…良かったら手伝いましょうか?
もう少ししたら終わるので。」
「……………………。」
こくり、と斉藤隊長がうなずく。
お、やっと返事が帰ってきた!
会話成立ってやつだ。
「じゃあ、すぐ終わらせてきますね。」
「あ、退。どう?終わった?」
退は掃除道具をもう片付け終わったらしい。
俺が声をかけると、驚いて振り返った。
「あ、澪!えっと、うん!
もう終わったよ!!
澪ももう終わりなよ。
まだ時間あるけど
明日皆でやればいいし、ね?」
「…………なんでそんなに焦ってるの?」
「あああ焦ってなんかいないよ!勿論!」
「………汗かいてる。」
「あ、あははー、ちょっと暑いなーって
思って。掃除頑張ったからさ!うん!」
「……………………。」
怪しい。
すっごく怪しい。