第14章 真選組厠編(原作沿い)
「あの、副長?」
「………………あ"?」
「あ、いや……ごめんなさい。」
せっかく楽しんでいた見廻りが
一気にどん底に押しやられた。
隣の副長は機嫌最悪で煙草を吹かしている。
こうなったらもう副長の怒りに
触れないようにするしかない。
俺は黙って副長の隣を歩く。
「………………チッ。」
それを見て副長が舌打ちをした。
一瞬副長を見るものの、
副長は俺を見ていない。
「……………はぁ。」
折角ちょっとだけ距離が
縮められたと思ったのに、
また離れてしまった。
いつになったら俺はこの職場に
馴染めるのだろうと
ため息が漏れた。
「おはよう、退。」
「あ、澪。おはよう。」
隣に座っている退に挨拶して、俺も座った。
さぁ、そろそろ朝礼が始まる。
結局あの後、まともに口も聞かずに
1日が終わった。
挨拶もするし、前の通り俺に仕事をいくつか
任してくれてるのだけど、
なんとなくよそよそしい。
あーもう、銀時が変な事言うからだ。
今度会ったら1発殴ってやるもんね、ばーか。
「えー、それでは、
今週の掃除当番を決める。」
議題は進み、副長が掃除当番を隊ごとに
順番に発表していく。
それは俺達密偵部隊も例外ではない。
何人か隠密行動に出ているとはいえ、
屯所にいるメンバーで掃除を回すしかない。
しかも今日の密偵部隊のメンバーは
俺と退しかいない。最悪だ。
普段はもうちょっと多いのに。
「密偵部隊は庭。……以上だ。」
副長が立ち上がり場は解散となった。
「あーあ。どうする?退。
2人で庭とか無理だよ。」
「え?庭だったの?俺聞いてなかった。」
「………はぁ。」
最近、退にサボり癖があることに気付いた。
よく副長に粛清されてるなとは
思ってたけど、
まさか原因が退のサボりだとは
思わなかった。
……真選組のトップがストーカーしたくて
勝手に出てっちゃうような人だから、
屯所での仕事でやる気が出ないのは
分かる気もするけどね。
「適当に落ち葉集めでもしとく?」
「そうしよう。
今日過ぎれば少し人数増えるし、
明日からちゃんとやればいっか。」
俺は退とそんな話をして、
一緒に竹ほうきを取りに向かった。