第3章 過去編
しばらく歩き回ると、
白いバケモノと一緒に歩く人影が見える。
やっと、見つけた。手間かけさせやがって。
「おい、ヅラ。面貸せ。」
「なんだ銀時、突然やってきて。
もしかして攘夷志士になりたくなったのか?」
「そんなんじゃねーよ。勧誘すんな。」
「チッ駄目か。…で、何の用だ。
お前から話しかけてくるなんて珍しいな。」
傘を少しだけ上げて、俺を見るヅラ。
白いバケモノの隣はやはりヅラだった。
そんなのの隣にいたら誰でも気づくだろうに
真選組の奴らは目が節穴なんだろうな。
「…ああ。ちょっと、な。
今暇だろ?来いよ。」
「暇じゃない。エリザベスと散歩中だ!」
ムッと口を紡ぎ眉間にシワを寄せるヅラ。
その後で、白いバケモノの背中から
ピョコリと白いプラカードが出てくる。
『桂さんさっき暇だな…って
呟いてませんでした?』
「おーい、後ろのバケモノが
暇だって暴露してんぞ」
「バケモノじゃないエリザベスだ。」
バケモノがプラカードを出してんのに
頑として態度を変えないとか頭おかしいだろ。
俺はぜってーしねぇ。
頭の硬いヅラに頭をポリポリかく。
「めんどくせーな…さっさと来いっての。」
「そのような事をいわれても、
理由をハッキリ言わんと行かんぞ。」
「………………」
理由…。
本当に澪なのかは俺もわからない。
けど、俺は、澪だと信じたい。
澪だと思いたい。
だから、澪の言葉を信じて
今ここにいる。
なぁ、ヅラ。
「…澪が生きてた。そう言ったら?」
お前は、どうする?