第3章 過去編
(銀時視点)
「はぁーーーーー。」
江戸の街のど真ん中で
俺はどでかいため息をついた。
思い浮かぶのは、あのアホの事ばかり。
『来週の火曜日、午後3時。』
『全て話す。
指名手配犯も同伴で。話すのが1度で済む。』
あれは、確実に澪だった。
目も、髪の色も、刀の振り方も、澪だ。
なのに…それ以外は、全て
俺の知っている澪じゃなかった。
俺の澪は、もっと、
チビのくせに明るくて、
アホのくせに博識で
いつもヘラヘラ笑っていて………
でも、昨日の澪は
もうチビじゃなくなってて、
目は鋭く冷たくなっていて、
笑顔なんてなかった。
あれは、本当に澪なのだろうか。
…もしかしたら
よく似た別人かもしれない。
「……………澪、だよな。」
自分に言い聞かせて街を歩く。
行先は決まっていない。
なにせ、指名手配犯だ。