第14章 真選組厠編(原作沿い)
えっへん、と威張る俺に
銀時は呆れたため息をつく。
すると後ろからゴチンと鉄槌が俺の頭を襲った
「…オイ!勝手に走って行くんじゃねぇ。」
「痛ッ…ごめんなさい。副長…つい。」
頭を涙目で押さえる。ちらりと見ると
煙草を咥えた副長。銀時を見ると、
副長の瞳孔が完全に開いた。
「あれ?多串君じゃん。」
「多串じゃねぇって言ってんだろ!
チッ…嫌な奴に会っちまった。
神崎、行くぞ。」
「嫌な奴?副長、銀時の事嫌いなんですか?」
首を傾げると副長の瞳孔が俺を見抜く。
「あぁ?そういやテメェら知り合いなのか。」
「そーだよ多串君。俺と澪は超超超〜
仲良しなワケ。そりゃもう、
見つけた瞬間走ってきちゃうくらいさ。」
「ん?まぁ、そうだね。走ってきちゃった。」
「大体、トッシーをお願いしに来たの
澪だし?俺、頼りにされてるワケ。
分かる?」
銀時はニヤニヤと笑って立ち上がり、
副長の隣にいた俺を引き寄せた。
肩に手を回され、ガッチリホールドされた。
目の前の副長の眉間のシワはもう
谷底のように深くなっていて、
ピキピキと血管が浮かび上がっている。
なんでこんなに怒っているのだろう。
「………テメェ、」
「それにさ、俺、澪の事
なんでも知ってるから。」
「…………!」
「お前らが知らない事、全部知ってる。」
銀時と副長の視線がぶつかる。
2人とも全く逸らそうとしない。
「……だから、渡さねェ。」
最後の銀時の声は、珍しく真剣そのものだった
それにしても、渡さねぇって……
「どういう意味……?」
俺が言葉の真意を聞く前に、
副長に手を引っ張られた。
「行くぞ、神崎。」
「わ、ちょっ!!ぎ、銀時、またね!」
「おー。またな。」
銀時は片手をフラフラと上げて
俺に返事をしたのだった。