第13章 竜宮城編(原作沿い)
僕が澪さんから顔を背けて
大きなため息をつくと
澪さんはまた僕の前に立った。
「分かった。俺ちゃんとやる。」
「…もういいですって、」
気にしてないから、と付け足すが、
澪さんは今日一番の真剣な顔だった。
「寝床として使えるか、
洞窟の奥、見に行ってくるね。」
「あ、ちょっと…澪さん!?」
澪さんはズカズカと洞窟の中に
歩いていってしまった。
「…スイッチが入ったようだな。」
澪さんが暗闇に入って
見えなくなってから九兵衛さんが
腕を組みながら言った。
「スイッチって…
澪さん、怒ってるんですか?」
僕がそう言うと九兵衛さんは首を振った。
「新八君、それは違う。
澪がそんな事を思う訳がない。
彼はただ、新八君に迷惑をかけたことを
悔やみ、それを挽回しようと
しているだけだ。他意はない。」
「そう…ですか…。」
とはいえ、僕も言い過ぎたかもしれない。
後でちゃんと謝ろうと思った。
(澪視点)
「むう、暗い。」
まっさらな太陽の光は洞窟の奥までは
届かない。
前と後ろしか分からない暗闇の中
俺は洞窟を歩き続けていた。
何も持たずに洞窟の奥に入ったのは
失敗だっただろうか。
「…とはいえ、今更何も成果なく
戻るわけにはいかないか…。」
意地を張って飛び出してしまった自分を
少し責める。
はぁーあ。俺、無人島に着いてから
きっと浮かれてたんだな。
「ちぇー、」
何かを蹴るつもりで足を思い切り上げると、
ゴン、とつま先に何かがぶつかった。
「いてっ」
当たったそれを触ると、
どうやら大きくて丸い石だった。
それを持ち上げると、
そこから少しだけ日が差す。
「もしかして出口?」
俺が周りの石を退けると、
洞窟の反対側に出たようだった。
「おおー!出口だー!!」
俺が勢い良く飛び出すと、
周りにいたたくさんの亀に銃を向けられる。
「お前地球人だな!!手を上げろ!!」
「……………へ??」