第13章 竜宮城編(原作沿い)
差し出される小太郎の手を無我夢中で掴む。
大砲は空中で爆破し、
俺達を爆風に包んでいく。
ふと後ろをみるともう
あの桃太郎の姿はない。
爆風に飲み込まれて
しまったのだろうか。
「こ、たろ…………」
俺は必死に立ち上がり、
小太郎に思い切りしがみつく。
このまま落ちたら着物の重みで
溺れ死んでしまう。
こんなところで死ぬのは嫌だ。
「大丈夫だ。」
小太郎は俺の背中を抱き寄せる。
「俺がお前を護る。」
そう言って冷や汗をかきながら
笑う小太郎が
なんだか凄くかっこよく見えた。
あれからどのくらいの時間が経ったんだろう
もう何処で気を失ったかも
分からない激闘の中、
目を覚ますと………
「ん、んんんー…。」
誰もいない砂浜に俺は横たわっていた。
「!?、ここどこ…………ゲッ!」
気付いたら、和装下着で眠っていた。
他の着物がまわりに広がってる訳もなく
俺の服はこれしかないようだ。
「うへー。十二単なくなっちゃった。
小太郎に怒られちゃうよ。
…あ、良かった。パンツは無事だ。
でも黒だからスケスケだよ…最悪。」
そこまで言って、一人であることに気付き、
もう一度周りを見渡す。
「……………小太郎?」
そう呼ぶと、遠くで、
「こ……こ…………だ…」
と声がする。
「小太郎!?小太郎、どこだ!?
こたろーーーーーー!」
声のある方に走っていき、
大声で呼ぶと、足元の砂がぞわりと動く。
「き……さま………わざ……と…………か」
「ヒッ!!」
なにこれ、砂の中に誰かいるの!?
もしかして、よ、よ、よ…………妖怪!?
「踏……ん…………でる…………」
「な………な、な、何…………」
怖くて金縛りにあったように動けない。
膝は震え立っていられるのが精一杯だ。
足元の砂はもぞもぞと動き、
俺の足を思い切り掴んだ。
そして砂から黒いワカメを被った妖怪が
俺を二つの目でギョロリと睨む。
「………思い切り俺の体を踏んでいると
言っているのが
分からんのかァァアアアアア!!」
「ぎゃあああああああああああ!!!」