第13章 竜宮城編(原作沿い)
着替えが終わり、
驚かせるために隠れようとすると
急に部屋の障子が開く。
「澪、行くぞ!」
「ぎゃっ!小太郎!?ノックくらいしてよ…」
驚かせるどころか
こっちが驚かされてしまった。
失敗したことに落胆していると
小太郎が俺の腕をつかむ。
「そんな事をしている場合ではない!
行くぞ!時間が無い!」
もぐもぐと何かを食べながら
俺を引っ張る小太郎に勝てるわけもなく、
俺は屋敷の外に出る。
「ちょ、小太郎!どこに行くの!?」
俺が聞くと、小太郎はにこりと笑って言った。
「…勿論、桃太郎の所だ!」
小太郎が行った先には桃太郎がいて、
俺もきびだんごをもらい、そのお礼に
月に向かうことになった。
俺達は桃太郎とその仲間達と共に
亀に乗り空を飛んでいた。
「見て小太郎!俺達、空飛んでるよ!!
このまま月に帰れるんだよな。」
にっこり笑って小太郎に聞くと、
小太郎が、は?と聞き返す。
「いや、俺達が向かうのは天竺だ。」
「へ?」
「そうだよな。桃太郎。」
小太郎は後ろに立っている
少年に声をかける。
しかし少年は答えない。
まっすぐ前を見てるだけだ。
「というか澪、その服はなんだ。」
「し、仕方ないだろ。
急に小太郎に引っぱられて来ちゃったし…
このかぐや姫の衣装脱ぎにくいんだよね。」
俺が小太郎を驚かせようと思って選んだのは
かぐや姫だった。
女装はちょっととか思ったけど、
押し入れから出てこれば貞子っぽいかなと
思ったんだよね。
押し入れに入れなくて失敗したけど。
十二単になっているそれは
物凄く重く、立つことで精一杯だ。
「むむぅ…ならば仕方ないか。
天竺に着いたら着替えれば良かろう。」
「だから、俺が行くのは月だよ小太郎。」
「フン、どうやってこれで
大気圏突破するつもりだ。澪。
共に天竺に行こうではないか。」
「うるさいな。大体天竺って何処なの?
有りもしない場所に行く方が危険だよ。」
「天竺はあるだろう!何を言っている。
桃太郎も言っていたじゃないか。」