第12章 喧嘩編
「…………あれ、銀ちゃんアル。」
「銀さん、こんなとこでどうかしたんですか?
びしょ濡れじゃないですか…。」
「…………………。」
新八と神楽が俺の顔をのぞき込む。
でも、俺は奴等に顔向けなんて出来なかった。
「…………先帰ってろ。」
俺はそれだけを言い残して、
奴等に背を向けた。
「…今の俺には昔の澪に見惚られて
澪の姿が見えていない。」
「…………ちゃんと現実を見ろ。」
ヅラに言われた言葉をそのまま繰り返す。
「………………………。」
この前のトッシーとの一件で
初めて真選組の隊服を着たアイツを見た。
そして、共に背中を預け、敵を斬った。
…………アイツは
前よりもずっと強くなっていた。
俺は初めてアイツと並んだ。
背中を預ける友として。
今までアイツが後ろに付いてきていた。
けど、もう違う。
俺はアイツと今、同じ位置にいる。
「……………澪。」
それを認めたくなかった。
真選組で強くなるアイツを。
俺以外の所に行ってしまうアイツを。
ああ、それだけじゃない。
ずっと
好きだった
アイツが
取られるのが
嫌だった