第12章 喧嘩編
「………………ほざけ銀時。」
「あ?」
「犬小屋で仕事を始めてから澪が
少し変わったと思わぬか。
澪は少しずつ成長している。
俺達以外の人と触れて、信頼して、
仕事に打ち込んでいる。
攘夷志士の俺としては遺憾だが…
澪は昔とは違う。高杉の事もちゃんと
受け止めることが出来るはずだ。
…今の貴様は昔の澪に見惚られて
澪の姿が見えていないようだがな。」
「んだと…ヅラのくせに」
「ちゃんと現実を見ろ、銀時。
そうすれば…分かるはずだ。」
ヅラは怒りの感情を俺にぶつけたまま、
スタスタと歩きその場を去った。
ヅラに言われたせいで怒りが収まらず
拳を握る。
「………………。」
ポツポツと雨が降り出し、
俺の心を濡らしていく。
拳から血が流れ、
本格的に降り出した雨が傷口にしみた。