第12章 喧嘩編

結局びしょ濡れになったままでは
どうにもならず、家に帰ろうと
万事屋の階段を上る。




「…………………待って！」



後ろから階段を駆け上がる音。



「………………銀時、」






振り向くと、澪がいた。

















「あの………えっと……………。」

慌てて俺を止めたまで威勢の良い
澪だったが
俺を目の前に言葉を詰まらせる。






「…その…さっきは…悪かったっていうか。」

俺の肩を掴んでへの字口になる澪。





「…………………。」


澪は涙が今にもこぼれ落ちそうだった





俺は、
コイツの泣き顔なんか
見たくないはずなのに。






お前を泣かせるのは誰だよ。









ヅラか？伊東か？











いや………






俺か。








「澪。」



「……………っ、な、な、な、なに？」


どもりまくっている澪の
腕を引き寄せる。



「…………ゴメンな。」




「お、おお………俺だって…ごめん。
いっぱい嫌な事言って、傷つけた。」



「………。」



「………絶交なんて俺には無理だよ……。」



そう言って俺を抱き締めてくる澪の
頭を優しく撫でてやると


澪はへへ、と笑った。



「やっぱり撫でるのは銀時の手が一番だ。」




「……………………ッ」





自覚ある恋ってこんなに切なかったっけ？