第12章 喧嘩編
「…………ここ、何処ですか。」
「…は?ラブホに決まってんだろ?」
「………なんで俺はこんな所にいるんですか。」
「…泣いてたし濡れてたし寒そうだったから
慰めてあげようかなって。」
「…別の意味で慰めようとしてませんか?」
「大丈夫だ。最初は痛いけど
すぐヨクなるしヨクしてやる。」
「やめてください
服脱がそうとしないでください
触らないでください」
隊長に導かれるまま来たのはラブホテルで
ベットに座らされて数分。
近付いてくる魔の手を遮るものの
二人だけの部屋で逃げ場は正直無い。
俺が隊長と距離を離れて座ると、
チッと舌打ちが聞こえる。
「……………へっくしゅ」
あー…寒ィ。
濡れた体で冷房ついた部屋にいると
すっごい寒く感じる…。
「もういいから風呂入って来いよ。
また休まれたら俺がサボれなくなるだろ?」
「そう言えば隊長は隊服ですけど
今日仕事だったんですか。」
「おうよ。でもサボってきた。」
「………結局俺が休んでも休まなくても
仕事サボってるじゃないですか………。」
でも物凄く寒いのは事実だし、
俺は隊長の言う通り風呂に入ることにした。
「……………。」
とりあえずバスローブを着て出ると、
沖田隊長はベットでゴロゴロしながら
待っていた。
「お、バスローブ?誘ってんのか?」
「誘ってません。これしかなかったんです。」
「チッ連れないねェ」
「…………………。」
俺が来ていた着物ハンガーにかけ、
適当なところにかける。
ちょっとは乾くといいけど……
そうしてる間もわざとらしく
俺に背を向ける隊長に
少し違和感を感じる。
「なんで聞かないんですか?
俺が泣いてたこと。」
靴を脱いでベットにのぼり、
沖田隊長に背中を合わせるようにして座ると、
沖田隊長は俺に背中を向けたまま話す。
「『コイツには言えねぇし話せねぇ』って
顔に書いてあるからな。」
「うっ…………そんなこと」
「あるだろィ?」
「………………………。」
急に沖田隊長が寝返りをうち、
俺の目をじっと見る。
俺がその目から逃げるように逸らすと
沖田隊長が重いため息をつく。
「はぁーー、………別に言いたくないなら
言わなくていい。」