第11章 真選組動乱編(原作沿い)
神崎は俺の隣に立つものの
その足はフラフラで、目も据わっている。
普段とは違う様子であることは
すぐに分かった。
「柳生家の元御庭番のくせに
薬盛られたのか?」
「盛られてないです。
ちょっと…油断しただけです。
大したこと…ありません…から。」
「何処がでィ、フラフラ野郎。
今のアンタはヘタしたら死ぬぜ。
そこで座って見てなせェ。」
「…やらせてください。
俺、盛られたら…盛り返す派なんで。」
「…今盛られたって認めた。」
「煩いです。…ほんのちょっと、
薬で眠っちゃっただけです。」
「それを盛られたって言うんだよ。」
どうせ立っているのが精一杯な癖に、
良く言うもんだ。
もう自分の意思で立っているようなものの
神崎に笑いがこみ上げる。
どうせ神崎に何を言っても無駄だ。
休んでろって言っても奴は動くだろう。
だったら…
「…近藤さん心配なんで一気に行くからな。」
「!…はい。」
神崎が思う存分刀を振り回せる場を
作ってやるしかないだろィ?
「……………………はぁ。」
「これで全部、か?」
「……………はい。恐らく…。」
なんとか二人で車両の敵を斬り突破できた。
右肩がズキリと痛み、反対の手で抑えた。
右肩から血がだらりと垂れて
俺の手を濡らしていく。
痛ェ…。
「…大丈夫、ですか…。肩。
というか…沖田隊長、全身真っ赤ですよ。」
神崎は頭から血が出て止まらないらしく
血でだらっだらの顔で俺を見る。
「アンタこそ頭大丈夫か?」
「へ?沖田隊長?顔も赤いです。恋ですか?」
「駄目だこりゃあ。手遅れだァ。」
神崎は薬が大分抜けたらしく
言葉がハッキリしてきて体も動くようだが、
中身は空っぽになってしまったらしい。
神崎の顔にハンカチを押し付け、
先頭車両の方を見る。