第10章 風邪編
(澪視点)
『澪』
『刀は侍の魂です。』
『大切にするのですよ。』
「………………せん、せい?」
パチリと目を開けると、そこは見慣れた天井。
柳生家の屋敷だった。
先生はどこにもいない。
「…当たり前か。………ん?」
ガチャリ、と体を起こすと何かが手に当たった
ふと見ると、風呂敷に包まれたそれは、
「………………俺の、…だ。」
昔無くした自分の刀。
先生が届けてくれたのだろうか。
いや、まさか。
隣に目をやると、
「…………すぅ」
座ったままうたた寝する若がいた。
「あ、澪。起きましたか。」
「おはよう…東城。」
若を自分の布団に寝かせて部屋を出ると、
東城に会った。
東城は俺の額に付いていた冷えピタを剥がし
額に手を当てる。
「ぬぁっ!」
「熱は下がったようですね。何よりです。」
「………熱?」
そういえば、昨日の記憶が一切ない。
覚えているのは、朝、2人に言われて
布団に入った所まで。
あれからずっと眠っていたのだろうか。
………全く思い出せない。
「…あ、そうだ。あの刀って
誰が持ってきたの?」
「ああ、あの刀ですか。
あれは万事屋の方が澪と一緒に
持ってこられたものですよ。」
「銀時が………。」
「てっきり仕事関係の刀だと
思っていたのですが…違うのですか?」
「ううん…違うよ。あれは昔…
戦争に参加していた頃に使ってた刀………。
銀時が持ってたんだ。」
「はぁ…そうですか。
一応澪は真選組ですから、
刀を持つのは構いませんが、
出どころが分からない刀を持っていると
廃刀令で捕まってしまいますよ。」
東城が眉間にシワを寄せて言う。
「分かってるよ。」
あの刀はしまっておくつもりだから。と
付け足した。
さて、今日こそ仕事に行かなければと
気合を入れた。