第10章 風邪編
(九兵衛視点)
「あ!銀ちゃん…と、澪アル!!
澪探してきてくれたアルか!!」
神楽ちゃんが柳生家に入ってきた
銀時を見て言う。
「たまたま見つけたから
拾ってきただけだっての。」
本人は物凄く面倒くさそうな顔をしているが
その腕には、澪が眠ったまま抱かれていた。
「またまたそんなこと言って。
実は探しに行っていたんでしょ?」
新八くんが銀時を茶化す中、
僕は澪に駆け寄った。
「澪、良かった…」
怪我もなく、すやすやと眠る様子の澪を見て
ホッとする。
「若、とりあえず、澪を自室に。」
「そうだな。」
東城が銀時から澪を受け取る。
その時、風呂敷に包まれた棒らしきものが
カランと落ちた。
「…………これは?」
「澪の探しもんだ。これ持って
寝りゃあよく眠れるだろーよ。」
「……分かりました。受け取りましょう。」
東城は門下生にそれを拾わせ、
一緒に部屋に入っていった。
とりあえず、これで澪も
今日は逃げ出すことはないはずだ。
「ありがとう。礼を言うよ。」
万事屋のみんなにお辞儀をすると
新八は苦笑いした。
「いえいえ、僕達は全然…」
「いや、君達のお陰だ。
また、澪が熱を出したら
連絡してもいいだろうか。」
銀時は、僕よりも澪の事をよく知っている。
もしかしたら、逃げ出さないコツや
見つける場所の目星も
ついていたのかもしれない。
これからも彼に頼っていこう…そう
思ったのだが。
「いや、もうその心配はねーんじゃねーの?」
銀時はまたやる気の無さそうな声で
そう答えた。