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第1章 境界上にて邂逅す










視線が、硬直した。
吸い込まれるように音が消える。
現在の場所は薄暗い地下道。なのにいきなり烈光が差したような。
どういう方向から光が差しているのか、他全ての人は影になって融け去り、はっきり見えるのは今や「あの人」だけ。
眩しいのに、まぶたは降りない……目を閉じたくはない。決して。
苛烈では無いが焼き付けるような光。温度は感じない。不思議な光に融解しないたった一つの存在に……世界が、全てが一点に収束した。

どうして、目に止まったのか? そんな理由なんてこの際何でも良かった。
あの人が居る、それが重要な事の全て。
見ている。あの人を。
容姿が目を引いたわけじゃ無い。
あの人だから。
さっきからわけのわからない感覚がこの世の法則を支配している。唯一の存在であるその人が至るところに満ちあふれているような。世界があの人になったのか、あの人が世界になったのか、境界は漠然としている。

尋常でない感触に目眩さえ覚えながら、それでもこの既視感は現実だった。



ずっと、ずっと前から知っていた。
いや……今初めて出逢う。



数百人を挟んであちらとこちら、その距離、遠く、手は届かない。
それでも、存在は明らかだった。



――あの人は、一体誰なんだろう?



知りたい

知りたい。

あなたの、名前は、








△境界上にて邂逅す▽







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