第19章 加速する輪舞曲
ますます惚れる要素しか無くて、いよいよ真面目にツラくなって来たけど…まぁまだ変な事は言えない。
「はー…」
「む?どうした幸村。体調が優れないのか?」
「ううん、体調は良いよ」
ただ智桜姫の事が好き過ぎて自制が効かなくなりそうで不安。入院中もちょいちょい自制が効かなかった時もあるし本当に不安しか無い。
「しっかしまぁ鬼メニューじゃったのぅ」
「笑顔であのメニューやらせるんだもんな…とんだドSだぜ…」
「でも飯は超美味い!」
「バランス、栄養価、良く考えられている」
「とても同年代が出来る事じゃ無いですね」
「姫先輩、絶対良いお嫁さんになるっすよね!」
そんな大浴場での会話。確かに彼女はいいお嫁さんになるだろうなぁ。料理も上手だし面倒見も良い。子供にも好かれてるしきっと良いお母さんになりそうだなぁとぼんやりと考える。
「そう言えば姫先輩って好きな人とか居るんすかね?」
一同「え」
「結構告白されてるのに誰とも付き合ったりとかしてませんし」
「んー…って言うより姫はそーゆーの興味無さそうだよなぁ」
「迫られてもクールに真顔で冷たくあしらっちょるけぇのぅ」
興味無い…クールに真顔で冷たく…そっか。
「ふふふ」
「幸村?」
「何でもないよ」
照れた顔とか焦った顔とかあんなに沢山の可愛い表情を皆は知らないんだと思うと、かなりの優越感がある。
※※※
『ん、じゃあ明日はこの日程で』
時刻は22時前。ペンションのリビングに居るのは俺と真田と柳と智桜姫。四人で明日のトレーニングメニューを確認し終えて冷めたお茶を飲み干す。
「ふあ…」
『真田君もう眠いの?』
「む…そんな事は」
真田の就寝時間は大体21時。珍しくとても夜更かししている。
『片付けはアタシがしとくから皆は先に休んで』
「すまない。後は任せた」
そう言って真田とリビングを出て行く柳を見送って智桜姫は湯呑みを片付ける。
「手伝うよ」
『ううん、大丈夫。明日もハードだし幸村君も休んで』
「そっか。じゃあお言葉に甘えて…おやすみ智桜姫」
『おやすみ幸村君』
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