第18章 想いの譚詩曲
責任、後悔…色々なモノが渦巻く。
『そんなの当然じゃん』
「!」
『だからそれを糧に全国大会でリベンジしようよ』
そう言って微笑む彼女に込み上げてくる何かがあって腕を伸ばしてその小さな身体を引き寄せる。
『ゆ、き村、君…』
「………御免」
『ふふ、しょーがないなぁ』
-ふわ-
「!」
ふわりと甘い香りに包まれる。とんとん、と優しくあやす様に撫でられる背中が暖かい。刻まれる鼓動の音が心地好い。
色々な負の感情を消してくれたのは智桜姫の暖かさと彼女をどうしようも無く好きだなぁって気持ち。
※※※
そして8月頭。
まだ通院はしなくてはならないものの厳しいリハビリを終えた幸村君はコートに戻って来てくれた。
「ぶっ、ぶちょっぉお~!!!」
大号泣しながら喜ぶ者。
「幸村…良かった………」
涙耐え耐えに喜ぶ者。
「随分と遅かったきに」
冗談を交えながら喜ぶ者。
一同「おかえりなさい」
「ただいま」
皆が幸村君の帰りを喜んだ。喜ばない者は誰一人として居ない。
「二週間後には全国大会が始まる。その前に我々R陣は昨年同様、柳のペンションで強化合宿を行おうと思う」
「日程は七日から九日までの二泊三日」
じゃあこの三日間はアタシはお休みだから夏休みの宿題終わらせて家の事しなきゃだなー。
「智桜姫」
『ぅえっ!?』
「ふふふ、何その声。サポート、頼める?」
『えっ…』
マジか…どうしよう。三日も家空けて大丈夫だろうか…
「もしかして忙しい?」
『そう言う訳じゃないけど…ちょっと家と相談してもいいかな』
一同「………」
『あ、えっと…行きたくないとかじゃなくて寧ろ凄く行きたいんだけど!基本家事とかアタシが担当してるから空けて大丈夫かの相談をですね…』
片親なんて言えないし寧ろその片親である母親がフラフラしてるなんてそんな事も言えないし。
「協力出来る事ある?」
『え…』
「この前、夏葉ちゃんが言ってた。お母さんよりお母さんだって」
あの子…何をベラベラと!
「無理はしないで。協力出来る事あったら何でも言って」
一同「うんうん」
『有難う』
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