第13章 心の夢想曲
「あらあらあら!わざわざ送ってもらっちゃってごめんなさい。有難う御座います」
『いえ…』
意外と距離があった幸村君宅。それでもお見舞いに来るなんて、お兄さん思いの良い妹さんじゃないか。しかしまぁ…大きなお家だ。
「息子からいつも聞いてるのよー!学校の事とか色々やってくれてるみたいだし勉強も教えてくれてるとか!本当にお世話になっちゃって…有難う」
『とんでも無いです』
「良かったら晩御飯食べて行かないかしら?」
『とても有難い申し出なのですが…家の者が待っているので』
「そう…残念だわ………今度は上がって行ってね!」
『有難う御座います』
幸村君も聖菜ちゃんも母親似だろうか?
「夏葉!明日学校でね!」
「うん!」
「っ!智桜姫さん!有難う御座いました!」
深々とお辞儀をする聖菜ちゃんに手を振って。親御さんには会釈をして帰路に向かう。
「今日の夕飯、なぁに?」
『うーん、ちょっと遅くなっちゃったから時間のかからないものかなぁ』
「なつね、お姉ちゃんが作るご飯は何でも好きだよ」
『あらー?自分の事名前呼びになってる』
「いーの!お友達の前ではちゃんと私って言ってるもん」
『はいはい』
※※※
「じゃーん!見て下さいよ!追試の結果!!!」
翌日。授業が終わって部活の支度をしてたら切原君が部室で高々と追試の答案用紙を掲げる。
「英語50点、数学52点…赤也にしてはなかなかやったのぅ」
「へぇ…やるじゃん」
「でしょでしょ!?俺もやれば出来るんすよー!」
得意気な顔をする切原君を皆が揉みくちゃにする。アタシの予想では60点~70点は固いと思ってたんだけど…ちょっと詰めが甘かったか。でも赤点は免れてるし…まぁいっか。
「教えた本人は納得出来て無いみたいだな」
『もう少しイけると思ってた』
「赤也のあの点数は大出世だ」
『そう?なら良かった』
部活終わったら幸村君に報告しに行こう。
「姫先輩姫先輩!」
『?』
「俺、やったっす!」
あぁなるほど。褒めて欲しいのか。そう言えば調理実習で作ったカップケーキがあったっけ。
『よーしよしよし!エラいぞ切原君!ご褒美にコレをあげよう!』
「マジっすか!?」