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君色Days【庭球王子】

第9章 響く四重奏曲


『はあ!?マネージャー!?』



-ざわっ-



朝のHR前。教室で静かにノートを開いて落描きしていたらテニス部のR陣が押し掛けてきた。そして我部のマネージャーになってはくれないかと言う話を持ち掛けてきた。何だこの迷惑な連中は。



『無理。ヤダ。他当たって』

「即答!?」

「えー!?何でっすか!?」



何故って…アタシは家の事で忙しいし、なんて言っても理解出来ないだろう。だって受験生だし、それは3年全員に言える事だから通用しない。となると理由は…思い付かない。



『えっと…と、兎に角!無理なものは無理なの!ほら、HR始まるから教室に戻ったら?』



揃って不服そうな顔をしていたけど無理矢理追い返す。ってゆーか何でアタシ。やりたい人は沢山いるだろうに。そもそもアタシはサポートなんて柄じゃないし、どちらかと言うと競技者側だ。否、最早競技者でも無いか。





※※※





『って事があって今日1日中付け回されたんだけど…幸村君何か知ってるよね?どうゆう事か説明してくれる?』



とにこやかに言う智桜姫だけど目が笑ってない。怒ってる…と言う訳では無さそうだけど迷惑がってるのは手に取る様に分かる。



「君のマネージメント能力が欲しいと思ったから推薦したんだ」

『能力って…そんな大した事じゃ…』

「ううん、凄いよ!ただトレーニングメニューを作るだけなら誰だって出来るけど個々の能力に合わせたものなんて簡単に作れないよ。それに…部員からも好かれてるしね」

『そう………かな…?』



少し照れたのか俯いて鞄の肩紐を握り締める。



「時々、悲しそうな顔をするよね」

『!』

「そんな顔は俺達が…いや、俺がさせない。必ず最高の景色を君に見せると誓う」

『幸村君…』

「それじゃ…ダメかい?」





※※※





ってズルいよね。ズル過ぎる。あんな殺し文句であんな表情で頼まれたら断れる訳が無い。断れるって人がいるなら是非とも断り方を教えていただきたいものだ。
と思いながら入部届を持ってテニス部の部室に行く。何となく…いや、かなり足取りは重い。



「あー!姫先輩じゃないっすかー!何してるんスか?もしかして練習見に来てくれたんすか!?」

『いや違…』

「マネージャーやってくれる気になったとか!」

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